The Oxford History of English
出版社:Oxford University Press(2013年:updated edition)
編者:Lynda Mugglestone
価格:£17.99(自分は日本のAmazonで購入)
編者を含めた14人が書いた14章から成る。
時代ごとの言語の変化とその背景(内面史と外面史)について全体的にバランスよく言及した通史ではなく、様々な時代 ー 先史・古期・中期・近代初期・チューダー朝期から19世紀 ー の英語の発音・綴りや文法的な
特徴に特化した内容で、イギリス英語に焦点を置いている。それらを示すための文学・演劇作品、公式文書、
日記、手紙から抜粋した文章は主にヘルシンキ大学の豊富なコーパスに基づいています。
例えば、中期英語の章ではイギリスの方言の差異、同章とルネサンス期の章では大母音推移(Great Vowel Shift)、チューダー朝期の章では do の発生と用法、様々な階級の人が使う綴り字の違い(三人称動詞の -s
または -th の有無)を紹介している。大母音推移に関しては、time、name、green、day など、いくつかの
単語を挙げ、中期英語の発音(基本的にローマ字読み)と現代語の発音が書かれているので、英語を教え
る人は、「現代英語がなぜローマ字読みしないのか」という学習者の質問への答えが見つかるでしょう。
イギリス英語に特化していることから、『Modern Regional English in the British Isles』の章では、イングラ
ンド各地の英語、スコットランド、アイルランド、ウェールズの英語の特徴や古語、古英語・古ノルド語・
古フランス語の関りなど、35ページにわたり言及されています。
英語を取り巻く社会情勢は、『English Among the Languages』、『English World-wide in the Twentieth Century』
の章に集中しています。世界大戦中と戦後、冷戦下とそれ以降 ー 主に90年代と国際社会時代 ー でのイギリス
英語と米語の関係、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、南米にお
けるイギリス英語または米語の浸透や現地の言語との関り(例えば、ハワイの日系人のピジン英語)など、
様々な面について浅く広く述べられています。例えば、西洋化した(西洋文化を取り入れた)非英語圏におけ
る英語の存在・役割・影響 ー日本に関しては和製英語 ー を取り上げています。
時代ごとの発音・綴りや文法的な特徴が詳しく書かれているので、外面史よりも英語の変化を重点的に知りた
い人に適した良書です。ただし、アメリカ英語の歴史には触れられていないので、米語の成り立ちと発達につ
いて知りたい人は他の本が必要です。
600ページありますが、最終章の終わりは513ページで、残りは年表、参考文献の紹介と索引。513ページとは
いえ、行間だけでなく、ページの上部と両端の余白も広いので、一面に文字が詰まっていた2000年代前の本
に当てはめると、300ページ足らずか、と想像します。
イギリスの Amazon のレビューでは「専門的な内容」という声が多く、英語史の書籍を紹介している日本人の
ウェブサイトでも「専門レベル」として扱われていますが、知識がなくても読み通せる記述は十分あります。Googleの書籍情報の「内部検索」を使ってかなりのページを閲覧できるので、英語史に興味がある人は一度
目を通してみると良いでしょう。
編者:Lynda Mugglestone
価格:£17.99(自分は日本のAmazonで購入)
編者を含めた14人が書いた14章から成る。
時代ごとの言語の変化とその背景(内面史と外面史)について全体的にバランスよく言及した通史ではなく、様々な時代 ー 先史・古期・中期・近代初期・チューダー朝期から19世紀 ー の英語の発音・綴りや文法的な
特徴に特化した内容で、イギリス英語に焦点を置いている。それらを示すための文学・演劇作品、公式文書、
日記、手紙から抜粋した文章は主にヘルシンキ大学の豊富なコーパスに基づいています。
例えば、中期英語の章ではイギリスの方言の差異、同章とルネサンス期の章では大母音推移(Great Vowel Shift)、チューダー朝期の章では do の発生と用法、様々な階級の人が使う綴り字の違い(三人称動詞の -s
または -th の有無)を紹介している。大母音推移に関しては、time、name、green、day など、いくつかの
単語を挙げ、中期英語の発音(基本的にローマ字読み)と現代語の発音が書かれているので、英語を教え
る人は、「現代英語がなぜローマ字読みしないのか」という学習者の質問への答えが見つかるでしょう。
イギリス英語に特化していることから、『Modern Regional English in the British Isles』の章では、イングラ
ンド各地の英語、スコットランド、アイルランド、ウェールズの英語の特徴や古語、古英語・古ノルド語・
古フランス語の関りなど、35ページにわたり言及されています。
英語を取り巻く社会情勢は、『English Among the Languages』、『English World-wide in the Twentieth Century』
の章に集中しています。世界大戦中と戦後、冷戦下とそれ以降 ー 主に90年代と国際社会時代 ー でのイギリス
英語と米語の関係、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、南米にお
けるイギリス英語または米語の浸透や現地の言語との関り(例えば、ハワイの日系人のピジン英語)など、
様々な面について浅く広く述べられています。例えば、西洋化した(西洋文化を取り入れた)非英語圏におけ
る英語の存在・役割・影響 ー日本に関しては和製英語 ー を取り上げています。
時代ごとの発音・綴りや文法的な特徴が詳しく書かれているので、外面史よりも英語の変化を重点的に知りた
い人に適した良書です。ただし、アメリカ英語の歴史には触れられていないので、米語の成り立ちと発達につ
いて知りたい人は他の本が必要です。
600ページありますが、最終章の終わりは513ページで、残りは年表、参考文献の紹介と索引。513ページとは
いえ、行間だけでなく、ページの上部と両端の余白も広いので、一面に文字が詰まっていた2000年代前の本
に当てはめると、300ページ足らずか、と想像します。
イギリスの Amazon のレビューでは「専門的な内容」という声が多く、英語史の書籍を紹介している日本人の
ウェブサイトでも「専門レベル」として扱われていますが、知識がなくても読み通せる記述は十分あります。Googleの書籍情報の「内部検索」を使ってかなりのページを閲覧できるので、英語史に興味がある人は一度
目を通してみると良いでしょう。