紙の辞書、電子辞書、それとも自動翻訳機か
本格的に学ぶ人
初めて学ぶ人は、まずは紙の辞書を使いこなせるようになり、使い方の基本を熟知するのが先決だろう
(単語を調べれば良いだけと思うと大間違い)。紙の辞書で調べたい単語を引くと、語義、用例と関連
語彙がまとめて目に入るので、隅々まで目を通し、意味を考えるようになる(その癖をつける必要があ
るが)。電子辞書では一度に表示される内容が限られ、適語・適訳を見つけ出すのが難しい(対象言語
を全く知らない人には不可能である)ため、紙の辞書の使い方の基本を分かっていなければ失敗する。
更に強調したいのは習熟度に差が出る可能性。紙の辞書を引く場合は、自分の意志で調べるという意識
が働くため、綴りや意味に集中し、結果的に覚えが早い時がある。逆に、電子辞書やオンライン辞書で
は機械任せで答えを求めるため、その場しのぎで検索し、頭に入らないことがある(パソコンや携帯の
使用により漢字を正しく書けないのと同じである)。
初級の段階では紙の辞書でしっかりと基礎を固め、2年目から電子辞書を併用すると良いだろう。
重要なのは、電子辞書にしろ、意味を把握しながら調べ、手書きで覚えることである。
私のフランス語の恩師であり、ベテランの翻訳者であるT氏によるアドバイスが的を射ている。
何らかの条件で外国語の習得を必要に迫られた人(注:外出先で辞書を携帯する必要がない人)
留学生を受け入れるホストファミリーや海外からの観光客が多いお店では、否が応でも日本語と外国語
を混ぜて意思疎通することになるだろう。最近では音声型の自動翻訳機の精度が向上しているが、100%
の正確さは保証されていない。あくまでも翻訳機に登録されているデータに基づいているのであり、抽
象的な言葉、特に細かい意味に関しては、実際に言いたいことが的確に訳されているか否かは、互いの
言語を知らない者同士に分かる術はない。単語や表現次第では、機械が文字通り直訳する場合もあり、
全く伝わらない、または別の意味で理解される。言葉が分からない人は真偽を確かめることができない
が、即座に機械から声が出るので安心するのだろう。
翻訳機の代わりに電子辞書か安価な小辞典を選ぶ人もいるだろうが、外国語に慣れていない人が使いこ
なすには難易度が高すぎる。先述したように、電子辞書では表示に限界があるうえに、対象の言語を全
く知らない人は適訳を選び抜くことなどできない。小辞典は語彙数または訳の説明に限界がある。そこで、
日本語→外国語、外国語→日本語のしっかりとした紙の辞書を使うことをお薦めする。まともな紙の辞書
は語彙数が豊富で、該当する語の説明にくまなく目を通すことができ、適訳を指さしできる。どれが適訳
が分からなくても、相手に見せると、状況に相応しい語を理解してもらえる。一単語、すなわち「文字上
の一つの言葉」が持つ様々な意味が記載されているので確実に伝わる。翻訳機より効率が悪いと思うだろ
うが、いざ辞書を引くとなると、不思議なことに、最も伝えたい重要な語だけを選び抜き、意思疎通が円
滑になる。電子辞書も自動翻訳機もなかった時代にこの方法で実践してきたので断言できる。対面で話す
のだから、機械任せの無機質なやり取りよりも、辞書片手に話すのが人間同士の対話を実感できるのでは
ないだろうか。このような考えはアナログ過ぎるのか。
初めて学ぶ人は、まずは紙の辞書を使いこなせるようになり、使い方の基本を熟知するのが先決だろう
(単語を調べれば良いだけと思うと大間違い)。紙の辞書で調べたい単語を引くと、語義、用例と関連
語彙がまとめて目に入るので、隅々まで目を通し、意味を考えるようになる(その癖をつける必要があ
るが)。電子辞書では一度に表示される内容が限られ、適語・適訳を見つけ出すのが難しい(対象言語
を全く知らない人には不可能である)ため、紙の辞書の使い方の基本を分かっていなければ失敗する。
更に強調したいのは習熟度に差が出る可能性。紙の辞書を引く場合は、自分の意志で調べるという意識
が働くため、綴りや意味に集中し、結果的に覚えが早い時がある。逆に、電子辞書やオンライン辞書で
は機械任せで答えを求めるため、その場しのぎで検索し、頭に入らないことがある(パソコンや携帯の
使用により漢字を正しく書けないのと同じである)。
初級の段階では紙の辞書でしっかりと基礎を固め、2年目から電子辞書を併用すると良いだろう。
重要なのは、電子辞書にしろ、意味を把握しながら調べ、手書きで覚えることである。
私のフランス語の恩師であり、ベテランの翻訳者であるT氏によるアドバイスが的を射ている。
何らかの条件で外国語の習得を必要に迫られた人(注:外出先で辞書を携帯する必要がない人)
留学生を受け入れるホストファミリーや海外からの観光客が多いお店では、否が応でも日本語と外国語
を混ぜて意思疎通することになるだろう。最近では音声型の自動翻訳機の精度が向上しているが、100%
の正確さは保証されていない。あくまでも翻訳機に登録されているデータに基づいているのであり、抽
象的な言葉、特に細かい意味に関しては、実際に言いたいことが的確に訳されているか否かは、互いの
言語を知らない者同士に分かる術はない。単語や表現次第では、機械が文字通り直訳する場合もあり、
全く伝わらない、または別の意味で理解される。言葉が分からない人は真偽を確かめることができない
が、即座に機械から声が出るので安心するのだろう。
翻訳機の代わりに電子辞書か安価な小辞典を選ぶ人もいるだろうが、外国語に慣れていない人が使いこ
なすには難易度が高すぎる。先述したように、電子辞書では表示に限界があるうえに、対象の言語を全
く知らない人は適訳を選び抜くことなどできない。小辞典は語彙数または訳の説明に限界がある。そこで、
日本語→外国語、外国語→日本語のしっかりとした紙の辞書を使うことをお薦めする。まともな紙の辞書
は語彙数が豊富で、該当する語の説明にくまなく目を通すことができ、適訳を指さしできる。どれが適訳
が分からなくても、相手に見せると、状況に相応しい語を理解してもらえる。一単語、すなわち「文字上
の一つの言葉」が持つ様々な意味が記載されているので確実に伝わる。翻訳機より効率が悪いと思うだろ
うが、いざ辞書を引くとなると、不思議なことに、最も伝えたい重要な語だけを選び抜き、意思疎通が円
滑になる。電子辞書も自動翻訳機もなかった時代にこの方法で実践してきたので断言できる。対面で話す
のだから、機械任せの無機質なやり取りよりも、辞書片手に話すのが人間同士の対話を実感できるのでは
ないだろうか。このような考えはアナログ過ぎるのか。