海外赴任に伴う外国語習得
過去のフランス語家庭教師としての経験に基づいて述べます。
仕事や何らかの活動で海外赴任することになったものの、現地の言葉を全く知らない人の中には、「とりあえず日常会話ができるようになりたい」という想いで語学学校や家庭教師を探す人がいます。そのような人達が言う「日常」とは何なのでしょうか。これを読んでいる人の中に、まさに海外赴任するために外国語を学ぼうとしている人がいれば、思い浮かべてみてください。
一般的に、外国語学習の「基本的な日常会話レベル」は簡単な言葉を使った自分自身や家族・友人に関する話、買い物、外食、交通機関での移動に必要な会話を指します。まずはこのレベルを目指す人もいるでしょう。それも良いですが、もう一つの「日常」も想像してみてください。赴任先ではどのような日常生活を送るでしょうか。現地では主に何をしますか(赴任の目的は何ですか)。仕事(例えば、技術関係、料理人、スポーツ)やボランティア活動が目的で渡航する人は、その活動が日常生活の大半を占め、業務の関連用語に加え、物事を説明し、理解する語学力が必要になります。これも日常会話と言えるでしょう。
話を最初に戻します。語学学校や個人レッスンの先生は、先述した一般的な外国語学習の日常会話を想定していることが多いです。不特定多数のグループレッスンを行う語学学校では、特定の分野の表現や単語を教えるのは難しく、個人レッスンの先生も生徒の学習目的や要望を知らないと、学習書に載っているような基礎的な内容に沿って教えます。仕事や活動に必要な言葉を重点的に習いたい人が、冒頭で書いたように、「とりあえず日常会話から」という気持ちで学校に通ったり、個人レッスンを受け始めると、期待する内容と教える人の設定したレッスンにずれが生じる可能性があります。私が出会った人の中には「学校に少し通ったが、想像・期待していたものと違い、ものにならなかった」と言う人が多くいました。学びたいこと、必要とすることが明確であったものの、学ぶ側と教える側の確認(意思疎通)不足が原因です。このような問題をできる限り避けるには、赴任先での活動に必要な言葉を中心にレッスンをしてもらえるかを最初に確認すると良いでしょう。同様に、教える人も、相手が必要とすることを尋ねるのが大切です。学ぶ側、特に初心者は教える側に任せがちですが、学びたいことや必要なことが明確な場合は、遠慮せずに伝えることが大切です。教える側は、それを上手に聞き出し、レッスンをするのが役目です。
私がフランス語の家庭教師を引き受けた際に、真っ先にしたのがこれです。生徒さんは国際ボランティアでアフリカのフランス語圏への派遣が決まっており、フランス語の知識は全くなしでした。現地で主に何をするかを尋ね、想定されるやり取りや必要な単語に基づいてレッスンをしました。
何を優先的・重点的にどのように学ぶか、教えるかは、人それぞれの考えで異なるので正解はありませんが、参考までに私の考えを述べます。
仕事や何らかの活動で海外赴任する人は、必要な専門用語と表現を重点的に、正確にはそれらの用語を使いながら基本事項を練習すると効果があるでしょう。赴任するまでの期間が短い場合は、なおさらそれを優先させた方が良いでしょう。先述の私の生徒さんは出発までに数か月しかなく、仕事の都合上、1、2週間にたったの1レッスンということで、初心者には難しい文法事項も、現地で必要な表現や語彙を使って集中的に練習しました。仕事に必要な言葉を知らなければ意思疎通で苦労し、業務に支障をきたすからです。
イタリアでは、レストランで働いていた日本人と話したことがありますが、その方のイタリア語力は語学検定が定義するレベルに該当しないとはいえ、仕事に関してはなに一つ不自由しない力を備えていました。
職種や状況によっては身振り手振りで伝わらないこともあるので、言葉で正確に理解し合えるのに越したことはありません。仕事以外の日常の場面は、会話練習本や学習辞典で対応できるでしょうが、業務に必要な言葉を現地で習得するのは容易ではありません。
基礎を知らなければ専門分野に関する表現は覚えられないと思われがちですが、どういう表現であれ、文法に基づいているので、レベルに違いはありません。どのような単語を文法や言い回しに当てはめるかが大切です。
例:「~しなければならない」という表現を覚える。
「明日までに宿題を終わらせなければならない」。このような表現は、実務で外国語を使う人には役立ちません。
「明日までにこの報告書を本社に送らなければいけない」、「取引先に見積書(または請求書)を送らなければ
いけない」という表現の方が実用的でしょう。
自分にとって実用性が低いと思える単語や表現を、現地で使用頻度の高い言葉に置き換える工夫だけで良いです。それを円滑にするのが下で述べる資料作成です。
では、学び始めるにあたり何をしたら良いか。
仕事や何らかの活動で海外赴任することになったものの、現地の言葉を全く知らない人の中には、「とりあえず日常会話ができるようになりたい」という想いで語学学校や家庭教師を探す人がいます。そのような人達が言う「日常」とは何なのでしょうか。これを読んでいる人の中に、まさに海外赴任するために外国語を学ぼうとしている人がいれば、思い浮かべてみてください。
一般的に、外国語学習の「基本的な日常会話レベル」は簡単な言葉を使った自分自身や家族・友人に関する話、買い物、外食、交通機関での移動に必要な会話を指します。まずはこのレベルを目指す人もいるでしょう。それも良いですが、もう一つの「日常」も想像してみてください。赴任先ではどのような日常生活を送るでしょうか。現地では主に何をしますか(赴任の目的は何ですか)。仕事(例えば、技術関係、料理人、スポーツ)やボランティア活動が目的で渡航する人は、その活動が日常生活の大半を占め、業務の関連用語に加え、物事を説明し、理解する語学力が必要になります。これも日常会話と言えるでしょう。
話を最初に戻します。語学学校や個人レッスンの先生は、先述した一般的な外国語学習の日常会話を想定していることが多いです。不特定多数のグループレッスンを行う語学学校では、特定の分野の表現や単語を教えるのは難しく、個人レッスンの先生も生徒の学習目的や要望を知らないと、学習書に載っているような基礎的な内容に沿って教えます。仕事や活動に必要な言葉を重点的に習いたい人が、冒頭で書いたように、「とりあえず日常会話から」という気持ちで学校に通ったり、個人レッスンを受け始めると、期待する内容と教える人の設定したレッスンにずれが生じる可能性があります。私が出会った人の中には「学校に少し通ったが、想像・期待していたものと違い、ものにならなかった」と言う人が多くいました。学びたいこと、必要とすることが明確であったものの、学ぶ側と教える側の確認(意思疎通)不足が原因です。このような問題をできる限り避けるには、赴任先での活動に必要な言葉を中心にレッスンをしてもらえるかを最初に確認すると良いでしょう。同様に、教える人も、相手が必要とすることを尋ねるのが大切です。学ぶ側、特に初心者は教える側に任せがちですが、学びたいことや必要なことが明確な場合は、遠慮せずに伝えることが大切です。教える側は、それを上手に聞き出し、レッスンをするのが役目です。
私がフランス語の家庭教師を引き受けた際に、真っ先にしたのがこれです。生徒さんは国際ボランティアでアフリカのフランス語圏への派遣が決まっており、フランス語の知識は全くなしでした。現地で主に何をするかを尋ね、想定されるやり取りや必要な単語に基づいてレッスンをしました。
何を優先的・重点的にどのように学ぶか、教えるかは、人それぞれの考えで異なるので正解はありませんが、参考までに私の考えを述べます。
仕事や何らかの活動で海外赴任する人は、必要な専門用語と表現を重点的に、正確にはそれらの用語を使いながら基本事項を練習すると効果があるでしょう。赴任するまでの期間が短い場合は、なおさらそれを優先させた方が良いでしょう。先述の私の生徒さんは出発までに数か月しかなく、仕事の都合上、1、2週間にたったの1レッスンということで、初心者には難しい文法事項も、現地で必要な表現や語彙を使って集中的に練習しました。仕事に必要な言葉を知らなければ意思疎通で苦労し、業務に支障をきたすからです。
イタリアでは、レストランで働いていた日本人と話したことがありますが、その方のイタリア語力は語学検定が定義するレベルに該当しないとはいえ、仕事に関してはなに一つ不自由しない力を備えていました。
職種や状況によっては身振り手振りで伝わらないこともあるので、言葉で正確に理解し合えるのに越したことはありません。仕事以外の日常の場面は、会話練習本や学習辞典で対応できるでしょうが、業務に必要な言葉を現地で習得するのは容易ではありません。
基礎を知らなければ専門分野に関する表現は覚えられないと思われがちですが、どういう表現であれ、文法に基づいているので、レベルに違いはありません。どのような単語を文法や言い回しに当てはめるかが大切です。
例:「~しなければならない」という表現を覚える。
「明日までに宿題を終わらせなければならない」。このような表現は、実務で外国語を使う人には役立ちません。
「明日までにこの報告書を本社に送らなければいけない」、「取引先に見積書(または請求書)を送らなければ
いけない」という表現の方が実用的でしょう。
自分にとって実用性が低いと思える単語や表現を、現地で使用頻度の高い言葉に置き換える工夫だけで良いです。それを円滑にするのが下で述べる資料作成です。
では、学び始めるにあたり何をしたら良いか。
- 現在の仕事や活動で日々使う表現と単語を分けて書き出す。
- 1.で作成した資料を、習得する言語に正確に翻訳できる人を探す。
お金に余裕があれば、翻訳会社か赴任先の国との取引を専門とするコンサルティング会社に依頼すると
良いでしょう。国際ボランティアで渡航する人は、現地で同様の活動をしているNGOに相談するのも
手段の一つでしょう。逆に、まずはレッスンしてくれる人を見つけ、その人に翻訳してもらうか、プロ
の翻訳者や専門会社探しを手伝ってもらうのも良いでしょう。 - 家庭教師探し:
グループレッスンに興味がなく、ご自身の要望に合わせたレッスンのみを希望する人には、マンツーマン
レッスンを行う語学学校か家庭教師が適しているでしょう。
1.で作成した資料を活用した、現地での仕事や活動に即したレッスンが重要です。
教える人が、あなたの必要とする専門用語を対象言語で知らなければ、インターネットや専門書などで調
べてもらいましょう。
教える人の理想像:
習得言語の上級者の日本人または日本語の上級者のネイティブで、関連分野での経験者ならより好ましい。例:通訳者、翻訳者、現地企業との職務経験がある人。