橋をつくるために
現代世界の諸問題をめぐる対話
出版社:新教出版者(2019年)
訳者:戸口民也
原書:Politique et société
原著:Dominique Wolton(ドミニック・ヴォルトン)、教皇フランシスコ
出版を目前に、フランス語の恩師である訳者本人から、自身のホームページに掲載された「訳者あとがき」を読ませて頂き、私が日ごろ関心のある事柄が凝縮されているかもしれないという印象を抱きました。最もひきつけられたのは、度々使われている「対話」という言葉であり、私自身も現代社会の問題を「対話」という視点で捉えてきました(これについては後述しますが、異文化体験が基になっています)。
本書はフランスの社会学者ドミニック・ヴォルトン氏とフランシスコ教皇との対話です。話題は政治、経済、社会、宗教、戦争、環境問題から家族や現代人のコミュニケーションのあり方まで多岐に渡り、これらの問題に対する教皇自身と教会の取り組みを中心に織り交ぜながら進みます。世界中の国々が直面している問題、中でも、延々と続く戦争と貧困が生まれる原因と、それに加担するヨーロッパの構図を教皇が分かりやすく述べています。宗教用語と人物名が多いですが、各章の最後に分かりやすい注釈がまとめられています。教皇は主に宗教的観点から、ドミニック氏は宗教に捕らわれない立場から考えを述べていますが、それぞれの話題に教会の取り組みや姿勢を織り交ぜているので、宗教色満載の話ではありません。教皇の考えの全てが宗教の枠組みに捕らわれているのではなく、誰にでも共通するであろう一個人の考えに基づいており、そこにキリスト教の視点も加わっているということが分かります。分かりやすく言うと、教皇の考えと読者自身のそれを比べながら、キリスト教の視点と教会の活動を知ることができます。キリスト教と教会に関する知識や信仰の有無、宗教・宗派問わず誰でも読める、誰にでも薦められる理由はここにあります。本書を読んで感じたこと、教皇の「対話」という言葉を、現代社会の問題に対する私の考えに重ねてまとめました。
訳者:戸口民也
原書:Politique et société
原著:Dominique Wolton(ドミニック・ヴォルトン)、教皇フランシスコ
出版を目前に、フランス語の恩師である訳者本人から、自身のホームページに掲載された「訳者あとがき」を読ませて頂き、私が日ごろ関心のある事柄が凝縮されているかもしれないという印象を抱きました。最もひきつけられたのは、度々使われている「対話」という言葉であり、私自身も現代社会の問題を「対話」という視点で捉えてきました(これについては後述しますが、異文化体験が基になっています)。
本書はフランスの社会学者ドミニック・ヴォルトン氏とフランシスコ教皇との対話です。話題は政治、経済、社会、宗教、戦争、環境問題から家族や現代人のコミュニケーションのあり方まで多岐に渡り、これらの問題に対する教皇自身と教会の取り組みを中心に織り交ぜながら進みます。世界中の国々が直面している問題、中でも、延々と続く戦争と貧困が生まれる原因と、それに加担するヨーロッパの構図を教皇が分かりやすく述べています。宗教用語と人物名が多いですが、各章の最後に分かりやすい注釈がまとめられています。教皇は主に宗教的観点から、ドミニック氏は宗教に捕らわれない立場から考えを述べていますが、それぞれの話題に教会の取り組みや姿勢を織り交ぜているので、宗教色満載の話ではありません。教皇の考えの全てが宗教の枠組みに捕らわれているのではなく、誰にでも共通するであろう一個人の考えに基づいており、そこにキリスト教の視点も加わっているということが分かります。分かりやすく言うと、教皇の考えと読者自身のそれを比べながら、キリスト教の視点と教会の活動を知ることができます。キリスト教と教会に関する知識や信仰の有無、宗教・宗派問わず誰でも読める、誰にでも薦められる理由はここにあります。本書を読んで感じたこと、教皇の「対話」という言葉を、現代社会の問題に対する私の考えに重ねてまとめました。